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第92回クルーズよりツアーレポート その1

2016年8月18日に横浜を出航した第92回ピースボート地球一周の船旅で、カンボジア地雷問題検証ツアーの参加者がカンボジアを訪れました。ツアーの様子を同行したピースボートスタッフの富岡あゆみがレポートします。その第一弾です。

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あなたは「カンボジア」と聞いて何を思い浮かべますか?


アンコールワット?
活気あふれる街並み?
それとも最近急成長している東南アジアの1国?
それとも・・・今から約40年前に起きた惨劇でしょうか。

私たちは8月23日~8月28日までカンボジア地雷問題検証ツアーへ参加しました。参加者は今夏に出航した92回クルーズの元気あふれる30名、そしてピースボートスタッフを加え総勢37名。カンボジアの過去~現在~未来を学び、体感し、交流した6日間。
「自分で実際に見るってやっぱり大事」と改めて感じた旅。
そんな1週間を皆様に伝えたいと思い、このブログを綴ります。


【過去を知る】
3年8カ月の間に約200万人が殺された


「カンボジアは高齢者と若者中心のいびつな人口構造になっている」
この言葉が私がツアーで受けた衝撃の一つでした。
カンボジアの平均年齢はなんと25歳(2014年現在)。少子高齢化社会の日本では考えられない年齢です。なぜこんなにも平均年齢が若いのでしょうか。

その理由は1975年~1979年にポル・ポト政権による大量虐殺がカンボジアで行われたからです。今からたった40年前の出来事です。その犠牲者の数は約200万といわれ、国民の約3分の1以上の人が命を落としました。

この言葉を聞いてから街を歩いてみると、確かに若者が非常に多く、60代くらいの人と出会うことが少ないのです。その生々しい現実を実感しました


■トゥールスレン博物館

~2万人が収容され生き残りは7人だけ ~

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ツアーで一番はじめに訪れた場所です。ここは元々は学校でしたが、ポル・ポト政権時代に刑務所として使用されていた場所です。収監されたのは主に知識人・外国人・同じ党だがスパイと思われた人。ここで長時間におよぶ尋問と拷問をされ、夜になると処刑場(キリング・フィールド)へ連れて行かれて殺されました。狭い独房や拷問部屋には、血や汚物のシミらしきものが残っています。また収容されていた多くの人々の写真や、当時の拷問の様子を描いた絵が展示されていました。

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ここに収容された2万人のうち、生き残ったのはたったの7人。生存者の1人であるポールさん(当時9歳)からお話を聞きました。

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私が驚いたのはポールさんが現在46歳だということ。80代くらいの方かと勝手に想像していたからです。ほんの少し前に起きた事なのだと痛感させられました。

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その日の夜に参加者の1人が話した感想が印象的でした。
「ポールさんは最後に“あなたたちの幸せを願っている”と言っていた。自分の辛い経験を共感してほしいわけではなかった。だからこそ自分たちの人生を幸せにするために何をすべきか考えなければならないと思う」と。


■キリング・フィールド
~もしかしたら殺してしまうかもしれない。自分が生き残るために~

続いて訪れたのは大量虐殺が行われた場所であるキリング・フィールド。カンボジア国内にはこのような場所が100ヶ所以上あるといわれています。ツアーでは、最も規模が大きいといわれる、トゥールスレンに収容されていた人たちを処刑した場を訪問しました。

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一見何もない広場のような場所。あるのは骸骨が敷き詰められた慰霊塔と穴だらけの土地。穴だらけなのは遺体が掘り起こされたからです。最初は自分たちと同じ人間が、この場所で大量虐殺をおこなったということをイメージできずにいましたが、未だに犠牲者の人骨や衣服が埋まったままで、地表からのぞいているのを見て、本当に起きたことなのだと実感しました。

殺すのは夜中。1週間に1回100人ずつ。
首を切り、臭くならないように胃を引き出す。土に埋め、太陽が昇る頃には何事もなかったかのように・・・。

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赤ちゃんや幼児は銃がもったいないという理由でこの木に頭を打ちつけて殺されました。

殺す側はどんな気持ちで殺し続けていたんだろう。
もしも命令に背けば自らが殺されるかもしれない状況下で、自分が殺す側の立場に立たされたとしたら・・・
もしかしたら殺してしまうかもしれない。自分が生き残るために。
そんな事を考えながらこの地を後にしました。


文:富岡あゆみ 写真:内田和稔

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